預金 · 住宅ローン
預金 · 積立 · 住宅ローン + 税後計算。

韓国のDSR 40% — 日本の返済比率35%とどう違うか

韓国は政府が『年収の40%まで』と借入限度を法定。年収7,000万ウォン家計で住宅ローン上限 約4.6億ウォン。日本の返済比率35%とフラット35『年収倍率7倍』との比較。

深い藍色とゴールドのグラデーション背景に PiPi マスコットと『韓国 DSR 40%』が大きく配置された日本市場向けカード。
この記事のポイント3つ
  1. 韓国 DSR 40% 韓国の年収40%住宅ローン規制を視覚化したカード
  2. 日本 返済比率35% 日本のフラット35返済比率35%基準カード
  3. ストレス +0.75%p 韓国ストレスDSR 2段階で限度が約9~12%縮小されることを示すカード

東京に本社がある日系メーカーの韓国駐在員が、ソウルで住宅を購入しようとしてまず驚くのが『DSR 40%』という規制だ。日本の住宅ローン審査では『返済比率35%』『年収倍率7倍』が目安として案内されるが、韓国では政府が法的に『年収の40%まで』と上限を定めている。同じ『年収に対する返済能力』を測る指標でも、運用の厳しさと計算式が大きく違う。日韓どちらの市場で家を買うにしても、両者を比較しながら『自分の本当の限度』を把握できれば、契約直前に銀行で『限度オーバーです』と言われる事故を避けられる。

韓国の住宅ローン規制『DSR 40%』 — 政府が引いた借入の上限線

韓国の DSR(Debt Service Ratio・総債務元利金返済比率)は、2021年7月から全ての家計ローンに段階的に適用された『借主単位の総量規制』だ。核心は1行。

年間元利金返済額 ÷ 年間所得 ≤ 40%(1金融圏銀行基準、2金融圏は50%)

ここで『年間元利金返済額』は申請する住宅ローンだけでなく、全ての家計ローンの元利金合計だ。クレジットローン・自動車ローン・カードローン・学資ローン — 全部分子に入る。分母の『年間所得』は源泉徴収票または所得金額証明書で検証された税前所得。

この規制は、銀行が自由に評価していた時代(2018年以前)と決定的に違う。銀行が『この人は信用が良いから多めに貸そう』と判断しても、DSR 40%の線を超えるローンは物理的に実行不可能。上限は政府が引いた線で、銀行はその中でしか営業できない。

計算式 — 年収 7,000万ウォン家計の早見表

最もきれいなシナリオから見る。30代共働き夫婦、合算年収 7,000万ウォン(約 770万円相当)、既存負債 0ウォン、4.5%・30年元利均等で住宅ローン申請。

年間元利金限度 = 7,000万 × 40% = 2,800万ウォン/年 月元利金限度 = 2,800万 ÷ 12 = 約 233万ウォン/月

この月 233万ウォンを 4.5%・30年元利均等の公式に逆算すると元金が出る。

項目
家計年収7,000万ウォン (約 770万円)
DSR 40%限度 (年)2,800万ウォン
月元利金限度約 233万ウォン
4.5%・30年で住宅ローン元金限度約 4億 6千万ウォン (約 5,060万円相当)
LTV 60%換算で購入可能価格約 7億 6千万ウォン (約 8,360万円)

これが『負債なし30代共働き』の本当の天井だ。日本のフラット35『年収倍率7倍』ルールに当てはめると年収 770万円なら 5,400万円程度の借入が目安となるが、韓国 DSR 40%だと 5,060万円相当 — 多少厳しいが大差ない水準に着地する。

既存ローンが食う枠 — クレジットローン・自動車ローン

問題は 30代共働き家庭で『負債 0ウォン』が珍しいこと。クレジットローン 5千万ウォン(4年・金利 6%)があるだけで限度の半分以上が消える。

クレジットローン 5千万・4年・6%元利均等 → 月返済額 約 117万ウォン、年間 約 1,400万ウォン。

シナリオ年間元利金限度クレジットローン控除後住宅ローン元金限度
負債 0ウォン2,800万2,800万約 4.6億ウォン
クレジットローン 5千万2,800万2,800-1,400 = 1,400万約 2.3億ウォン
クレジットローン 5千万 + 自動車ローン 3千万2,800万2,800-1,400-670 = 730万約 1.2億ウォン
クレジットローン 1億2,800万2,800-2,820 = マイナス0ウォン

3行目が衝撃だ。クレジットローン 5千万 + 自動車ローン 3千万があると、住宅ローンは 1.2億ウォン(約 1,320万円)しか受けられない。最初に『年収 7千なら 5億は借りられるだろう』と仮定して 7億物件を見て回り、実際には『うちの限度は 1.2億』という事実を仮契約直前に知るケースが頻発する。

実務結論: 住宅ローン申請の 6~12ヶ月前にクレジットローンと自動車ローンをできるだけ整理するのが最も効果的な限度引き上げ策。1年分のボーナスをクレジットローン返済に使うだけで住宅ローン限度が 1~2億ウォン伸びる。

『ストレスDSR』 — 上乗せ金利の意味

2024年2月から『ストレスDSR』が段階的施行されている。変動金利・混合金利の住宅ローン申請時、実際の表示金利に追加加算金利を上乗せして DSR を算定する。

時期加算ストレス金利適用対象
2024.2 1段階+0.38%p1金融圏変動・混合住宅ローン
2024.9 2段階首都圏 +0.75%p / 地方 +0.50%p1金融圏 + 2金融圏一部拡大
2025.7 3段階首都圏 +1.50%p / 地方 +0.75%p全家計ローン

3段階施行後、首都圏で 4.5%変動金利の住宅ローンを申請すると、DSR は 4.5%でなく6.0%基準で計算される。同じ元金でも算定金利が 1.5%p 上がると月元利金が約 17~18%増え、結果的に限度がほぼ同比率で縮む。年収 7千万ウォン家計で首都圏・変動金利申請なら限度は約 4.6億でなく約 3.8億ウォン水準まで落ちる(2段階適用時は約 4.2億)。固定金利(混合金利5年以上固定後変動の一部含む)で申請するとストレスDSR加算が半分または全額免除されるため、表示金利が固定の方が 0.3~0.5%p 高くても限度差で固定が有利になる家計が多い。

日本の『返済比率』と『借入限度額』 — フラット35 年収倍率7倍

日本側はどうか。住宅金融支援機構のフラット35 では『返済比率 35%以下』(年収 400万円未満は 30%)が目安だが、より広く使われるのが『年収倍率』 — 借入額 ÷ 年収が 7倍以下が安全圏というルールだ。

年収フラット35 安全圏 (倍率7倍)実勢平均 (年収倍率)
400万円約 2,800万円約 6.5倍 = 2,600万円
600万円約 4,200万円約 7.0倍 = 4,200万円
800万円約 5,600万円約 7.2倍 = 5,760万円
1,000万円約 7,000万円約 7.5倍 = 7,500万円

例えば年収 600万円の家計が 4,000万円・1.5%・35年元利均等でフラット35 を組むと月返済 約 122,473円、年間 約 147万円 → 返済比率 24.5%で安全圏に余裕。同じ家計が韓国式 DSR 40%基準で計算すると、4,000万円相当(約 3.6億ウォン)・4.5%・30年なら月 約 18.2万円・年 218万円 → 比率 36.4%で限度ギリギリ。

つまり同じ年収でも住宅ローンの『金利水準』と『計算ルール』が違うと限度に大きな差が出る。日本の低金利(1.5%前後)が借入限度を実質的に拡張してくれる効果が大きい。

結論 — 日韓共通の判断軸

韓国 DSR 40%と日本の返済比率 35%は、表面的な数字以上に運用が違う。次の3軸で自分の状況を整理する。

  1. 金利水準: 日本 1.5% vs 韓国 4.5% で、同じ元金・同じ期間でも月返済が全く違う。低金利国の方が限度が伸びる構造。
  2. 既存ローンの扱い: 韓国 DSR は全家計ローンを合算、日本の返済比率は新規住宅ローン中心 — 既存負債が多い家計ほど韓国の方が厳しい。
  3. 規制の硬直性: 韓国は政府が引いた線、日本は銀行・機構の運用基準。緊急時に韓国は規制が即時強化(ストレスDSR導入のように)、日本は緩やかに調整。

interest ツールに韓国 DSR 40%モードと日本フラット35モードを並べて比較できる。同じ家計シナリオを日韓両方で計算して、どちらの市場で買うか・両国の限度差を把握するのに使える。30年 vs 40年期間トレードオフも並べて見ると期間延長による限度拡張の戦略が見える。

家計負債/GDP 比率は韓国 約105% vs 日本 約65%(2025年基準)。韓国の方が家計レベルでの債務負担が重く、政府が DSR 40%という強い手段で介入する背景にこの数字がある。日本もいずれ似た方向に動く可能性はあるが、現時点では低金利・長期安定が借入限度の余裕を担保している。 → 私の住宅ローン限度を計算

よくある質問

DSR と DTI、何が違いますか?
DTI(総負債返済比率)は住宅ローンの元利金 + 他のローンの『利息のみ』を合算するのに対し、DSR(総債務元利金返済比率)は住宅ローン + 全ての家計ローンの『元利金全体』を合算します。同じ年収でも DSR の方がはるかに厳しい基準です。2021年7月から銀行ローンに DSR 40%が段階的に適用され、事実上 DTI は補助指標になりました。出典: 韓国金融委員会 — 家計負債管理強化方策。
韓国の DSR 40% と日本の返済比率 35%、どちらが厳しいですか?
数字だけ見ると日本の 35%の方が低く厳しく見えますが、計算式を比較すると韓国の方が厳しいケースが多いです。韓国の DSR は『家計の全ての借入の元利金』を分子に入れるのに対し、日本のフラット35『返済比率』は基本的に新規住宅ローンの元利金を中心に計算します。年収 600万円で他に車のローン 月3万があると、韓国式 DSR では限度が大幅に下がりますが、日本式では別枠扱いされる場合が多いです。
ストレスDSR とは何ですか?
変動金利・混合金利の住宅ローン申請時、実際の表示金利に追加で +0.38~1.50%pの『加算ストレス金利』を上乗せして DSR を算定する制度です。2024年2月1段階(+0.38%p)、2024年9月2段階(首都圏 +0.75%p / 地方 +0.50%p)、2025年7月3段階(首都圏 +1.50%p / 地方 +0.75%p)と段階強化されました。4.5%変動金利の住宅ローンなら DSR 計算時 5.25%~6.0%で評価され、限度が約 9~14%追加縮小されます。固定金利申請時は適用されません。
日本のフラット35『年収倍率』との違いは?
日本では『年収倍率』(借入額 ÷ 年収)が 7倍前後を目安にすることが多いです。年収 600万円なら 4,200万円程度。一方、韓国の DSR は倍率ではなく『元利金の比率』で計算するため、金利・期間・他の借入によって限度が大きく変動します。同じ年収 600万円でも、金利 1.5%・35年なら韓国式でも 4,500~5,000万円相当の限度が出るが、金利 4.5%なら 3,000万円台まで下がります。
韓国の DSR 40%が日本に導入される可能性はありますか?
金融庁が 2024年から検討しているのが『ストレステスト強化』で、韓国の DSR スタイルに近い概念です。ただし日本の住宅ローン市場は韓国より低金利・長期安定で、家計負債/GDP 比率も韓国の方が遥かに高い(韓国 約105% vs 日本 約65%)ため、韓国ほど厳しい総量規制を導入する政治的圧力は現時点で限定的です。出典: 金融庁 — 住宅ローン関連資料。
韓国で住宅を購入する日本人駐在員も DSR 40%の適用を受けますか?
はい。外国人居住者も韓国の銀行から住宅ローンを受ける場合は同じ DSR 40%基準が適用されます。むしろ外国人は『国内収入の証明』が厳格に求められ、本国所得は分母に入らないため、実効限度はさらに低くなる傾向があります。駐在員が韓国で住宅購入する場合、現地法人からの韓国所得のみで DSR を満たす必要があります。

Sources

PiFl Labs コンテンツチームが公開された出典に基づいて作成し、公開前に社内で検証しています。

最終確認:

本記事は一般的な情報提供であり、個別の投資・融資・税務に関する助言ではありません。実際の金利・限度・税金・制度は時期や個人の状況により異なるため、申込前に金融機関や税務の専門家にご確認ください。

ツールに戻る →
同じクラスタの他の記事