同じ年収480万円でも、通常月の額面は40万円にも32万円にもなります。 まず月給と賞与の配分をそろえ、次に控除を比べます。年収を12で割った数字だけでは、毎月使えるお金は決まりません。
この記事は実在の求人を評価するものではありません。給与配分の例と所得控除の例は別々の架空実験です。前者の8万円と後者の19,400円を合算したり、手取りの平均値として使ったりしないでください。
2026年9月22日 訂正: 旧版の扶養人数・年齢・都道府県別の月額比較表は、前提と計算根拠が不十分だったため撤回しました。「住む都道府県で健康保険料率が決まる」という説明も訂正します。旧カード画像は掲載を外しました。
比較1:年収480万円を、月給と賞与に分ける
次の2案は、どちらも記載した課税給与・賞与が全額支払われる仮定です。残業代・非課税手当・変動報酬は含めません。賞与の支払月・回数は指定していないため、特定の賞与月の合計額は出しません。
| 比較する額面 | A:賞与なし | B:賞与を含む |
|---|---|---|
| 通常月の給与 | 400,000円 | 320,000円 |
| 12か月分の給与 | 4,800,000円 | 3,840,000円 |
| 年の賞与合計 | 0円 | 960,000円 |
| 年の合計 | 4,800,000円 | 4,800,000円 |
Bは 320,000 × 12 + 960,000 = 4,800,000円。Aとの差は、通常月の税引前で80,000円です。Bの賞与96万円を12で割った8万円は、毎月追加で振り込まれるお金ではありません。年間総額が同じでも、賞与の支払前の生活費にその金額を充てられるとは限りません。
この表から、両案の年間手取りが同じとも、振込額が毎月8万円違うとも判断できません。保険料の算定、源泉徴収、支給時期などをここでは計算していないためです。求人票に「想定年収」「業績連動賞与」とある場合は、保証額と変動部分を勤務先へ確認し、96万円を確定額として埋めないでください。
手元で作る比較メモ — 未確認を0円にしない
以下は自分の手元の紙やメモに写すための確認表です。給与明細・勤務先名・個人番号をこのサイトへ送る必要はありません。 A・Bそれぞれに記入し、分からない欄には「未確認」と残します。
| 確認する項目 | A・Bについて残すメモ・確認先 |
|---|---|
| 比較期間と支給 | 同じ1〜12月か。通常月給、賞与合計、支払時期、保証・変動部分を分け、勤務先へ確認。 |
| 社会保険 | 加入保険者・加入支部と本人負担額。住所や年収だけで率・金額を決めず、給与担当者や保険者へ確認。 |
| 所得控除 | 適用を確認した控除の種類と年額。家族の人数から推定せず、公式の要件を確認。 |
| 住民税 | 通知書・給与明細から比較年の1〜12月に支払う額。未確認と0円を区別し、自治体へ確認。 |
| 社内控除・精算 | 社宅費・積立などの有無と対象月。計算機にない項目は別欄に残し、給与担当者へ確認。 |
協会けんぽの加入支部の案内は、支部が住む都道府県と異なる場合があると説明しています。他の保険者にその率を流用しないでください。住民税は新宿区の説明のように前年所得を基にするため、現在の年収が同じだけでは条件がそろいません。一年度の通知額と暦年の支払額も区別します。明細の項目自体が分からないときは、給与明細を読む順番から確認してください。
比較2:年収500万円で、確認済みの所得控除だけを変える
ここからは比較1と別の条件です。国税庁の扶養控除の説明にある一般の控除額38万円を、適用を確認できたと仮定して入力します。家族なら誰でも対象ではなく、原則その年の12月31日に16歳以上であることや所得・生計等の要件があります。配偶者や健康保険の扶養認定も別です。2026年分の改正の注記まで確認してください。この記事は誰が控除を使えるかを決めません。
ここでは所得税側の控除の影響だけを見るため、架空の共通条件を固定します。課税給与収入500万円、年間本人負担社会保険料60万円、対象年の住民税支払額18万円。給与以外の所得・非課税手当・所得金額調整控除・税額控除・社内控除はありません。
その他の所得控除だけを0円から38万円に変えます。38万円の適用資格があるかどうかは、この例で判定しません。住民税の将来の減額も推定しません。
| 年間の項目 | 追加控除なし | 確認済み控除38万円 |
|---|---|---|
| 給与所得 | 3,560,000円 | 3,560,000円 |
| 基礎控除 | 1,040,000円 | 1,040,000円 |
| 課税所得 | 1,920,000円 | 1,540,000円 |
| 所得税・復興特別所得税 | 98,000円 | 78,600円 |
| 年間手取りの概算 | 4,122,000円 | 4,141,400円 |
この固定条件での年額差は19,400円です。「家族1人につき必ずこの金額が増える」という意味ではありません。税率や控除の適用状況が変われば結果も変わります。2026年12月1日施行・2026年分適用の年税額の考え方は国税庁の計算例を参照しています。
計算の内訳は、給与所得356万円から保険料60万円と基礎控除104万円を引き、追加控除なしなら課税所得192万円、追加控除38万円なら154万円です。どちらもこの例では所得税率5%の範囲にあり、復興特別所得税を加えて100円未満を切り捨てると98,000円と78,600円になります。差は所得税等だけの19,400円であり、同じ年に支払う住民税18万円を両列で固定した比較です。翌年の住民税や毎月の振込額まで19,400円違うという予測ではありません。
自分の条件で比較する手順
- 手取り計算機で課税月給と賞与を分けます。この例の年収500万円は、課税月給40万円と賞与20万円で再現できます。
- 社会保険料は実額入力60万円、住民税は18万円とします。この二つは説明用の仮定で、年収500万円から自動的に決まる額ではありません。
- その他の所得控除を0円と38万円で比較します。ほかの入力は変えません。
- 年間結果を確認します。月平均や特定の月の振込額と混同しないでください。
比較1の配分も同じ計算機に入力できますが、実際の保険料や住民税が分からなければ、二社の手取り差は確定できません。年間結果の12分の1で、賞与の支払前の通常月を再現しないでください。実際の転職先を比べるときは、労働時間や福利厚生も別に記録しましょう。この記事はどちらの会社を選ぶべきかを決めるものではありません。
明細の読み方から確認したい場合は、額面と手取りの基本へ進んでください。