韓国に留学していた友人が、向こうで知り合った韓国人の友達と再会した話をしてくれた。新大久保のお店で、韓国人の友達が「私、今年で29(韓国式年齢)になっちゃった」と言ったらしい。日本の感覚で計算すると満27歳のはずなのに、向こうの口から出てきた数字は29。さらに役所の書類には満27と書く。同じ人物の年齢が3つあるという事実を、その日の居酒屋で初めてはっきり理解したという。2023年に韓国で年齢統一法が施行されてからもう3年経ちますが、3つの数字はそのまま残っています。日本の感覚で韓国の友達と話すときに毎回つまずくポイントを、定義から法令まで一度きちんと整理しておきましょう。
韓国の3つの年齢 — 同じ人に3通りの数字
韓国には現在も3種類の年齢計算が並行して存在しています。満年齢(マンナイ)、韓国式年齢(数え年に近い、ハングンナイ)、**年年齢(ヨンナイ)**の3つです。それぞれ計算方法が違うので、同じ人物が同じ瞬間に3つの違う数字を持つことになります。
日本では1950年に『年齢のとなえ方に関する法律』が施行されて以来、公的書類でも日常会話でも満年齢が標準です。数え年は七五三・厄年・神社の祈祷といった儀礼の場面に部分的に残るだけになりました。韓国では2023年6月になってようやく行政分野の満年齢統一が達成されたものの、日常と一部の法律にはまだ別の数え方が残っているという状況です。
満年齢(マンナイ)— 国際標準と一致
満年齢は出生日を満0歳とし、誕生日が来るたびに+1する方式です。日本の年齢計算とまったく同じで、英語の「age」「international age」とも一致します。韓国法制処の満年齢統一安内によると、2023年6月28日から行政基本法第7条の2と民法第158条が同時に整備され、行政・民事分野では別の規定がない限り年齢は満年齢で統一されました。
実生活では保険の加入年齢、病院のカルテ、運転免許・パスポート、雇用契約、不動産契約など、公式書類に書かれる年齢はすべて満年齢に揃いました。会社の健康診断や人事記録も満年齢が基本です。「公務員・銀行・病院が聞く年齢=満年齢」と覚えておけばほぼ間違えません。
韓国式年齢 — 生まれた年を1歳とする
韓国式年齢(数え年に近い計算)は、生まれた瞬間に1歳で、毎年1月1日午前0時に全員が一斉に+1されます。12月31日に生まれた赤ちゃんが翌日の元旦には2歳になる、という構造です。胎内にいた時間を0ではなく1として認める東アジア伝統の数え方が起源と言われています。
日本も明治時代までは数え年が一般的でしたが、1950年施行の法律で満年齢へ移行しました。中国も20世紀の行政改革を経て公的書類は満年齢に一本化され、ベトナムも公的領域では満年齢が一般的になっています(家庭やTetでは伝統的な数え方が今も使われます)。韓国は東アジアの中で行政上の満年齢標準化が最も遅かった国です。
年年齢(ヨンナイ)— 出生年だけ引く役所用
年年齢は『今年 - 生まれ年』の一行で計算します。誕生日が無関係なので、同じ年に生まれた人は全員同じ数字になります。学年・学番を決めるとき、兵役の身体検査や入隊対象者をまとめるとき、青少年保護法で未成年を取り締まるときなど、『同年生まれを一つのコホートにまとめる必要がある行政』で最も使いやすい方式です。
統一法施行後にも年年齢が残った場所がここです。韓国の青少年保護法は青少年を『満19歳未満かつ満19歳になる年の1月1日を迎えた者は除外』と定義しています。言い換えると『年年齢19歳になる年の1月1日から飲酒・喫煙が可能』という意味です。同じく兵役法、青少年基本法、初・中等教育法も年年齢で運営されており、これらは統一法施行後もそのまま維持されました。
1990年8月15日生まれの3つの数字
3つの定義が同じ人物に同時に適用されると、どんな数字が並ぶのかを一度整理しておくと、次に韓国人の友人と話すときに混乱しません。2026年5月2日時点で1990年8月15日生まれの場合を見てみましょう。
| 年齢の種類 | 計算方法 | 結果 |
|---|---|---|
| 満年齢(誕生日前) | 2026 - 1990 - 1 | 満35歳 |
| 満年齢(誕生日後) | 2026 - 1990 | 満36歳 |
| 韓国式年齢 | 出生時1 + (2026 - 1990) | 37歳 |
| 年年齢 | 2026 - 1990 | 36歳 |
誕生日前は『35・37・36』の3つがすべて違います。誕生日が過ぎると満36歳に上がって年年齢と同じになり、韓国式だけが37歳で1つ上に残ります。同じ人物が1年に2回に分けて、満年齢+1 → 翌年1月に韓国式+1 という流れで段階的に数字が上がっていきます。日本の満年齢に慣れた感覚で韓国の友人の年齢を聞くとき、年初・誕生日前後で2歳ずれて見える原因はこの2段階の構造にあります。
2023年6月の年齢統一法 — 何が変わったか
統一法の本体は韓国法制処の安内にまとめられています。2023年6月28日施行の改正で、行政・民事分野の年齢は満年齢を原則とすることが明文化されました。具体的に変わったのは次の領域です。
- 公的書類すべて満年齢: 保険・金融・医療・運転免許・パスポート・住民登録票
- 会社の人事・健康診断: 統一法施行と同時に大半が満年齢に切り替え
- 公文書・案内文: 政府発表・地方自治体の通知も満年齢で表記
一方で変わらなかった領域も明確に分かれます。
- 青少年保護法: 飲酒・喫煙は『年年齢19歳の1月1日から』のまま
- 兵役法: 身体検査・入隊は年年齢ベースのコホート単位
- 学校の学年・学番: 同じ年に生まれた子は全員同学年(年年齢)
- 家族の呼び方・伝統行事: 還暦・古希などは家庭ごとに韓国式 or 満で違う
統一法は『公式領域の標準化』であって『3つの年齢を全廃する法律』ではなかった、というのが3年経って見えてきた正確な姿です。
日本の年齢制度との比較
日本人の感覚で韓国の3つの年齢を理解するには、日本の制度と並べて見るのが早いです。
| 項目 | 日本 | 韓国(2026現在) |
|---|---|---|
| 公的書類の標準 | 満年齢(1950年〜) | 満年齢(2023年〜) |
| 数え年の使用 | 七五三・厄年・神社祈祷のみ | 食卓・家族・親戚で日常的に使用 |
| 学年の基準 | 4月生まれ起点(年度) | 年年齢(1月起点コホート) |
| 飲酒・喫煙年齢 | 満20歳の誕生日から | 年年齢19歳の1月1日から |
| 履歴書・名刺 | 満年齢のみ | 満年齢のみ(韓国式は私的な場のみ) |
日本でいう数え年が儀礼にだけ残っているのに対し、韓国の韓国式年齢は今もごく日常的に使われています。家族の食卓で「あなた今いくつ?」と聞かれたら、答えは韓国式が普通です。一方で会社の人事や役所では満年齢で答える、という二重の使い分けが日常生活の中で自然に行われています。
韓国の友達と話すときに迷ったら、日本と同じ満年齢を答えれば公的にはまず間違いありません。ただ「韓国式だと2つ上だけどね」と一言添えると、その後の会話で年齢の話が出てきても迷子になりません。
ツール — 3つの年齢を一度に確認
PiPi Worldsのageツールは、生年月日を一度入力するだけで満・韓国式・年年齢の3つを同じ画面に並べて表示します。旧暦の生年月日も自動で新暦に変換され、結果のURLは入力に応じて自動生成されるのでメッセージアプリでそのまま共有できます。同じツールのカード一覧の使い方は厄年・数え年・長寿祝いの早見表に、満18歳・19歳・20歳で何ができるようになるかは18・19・20歳 — 一歳ごとの権利に別の記事として残してあります。
韓国人の友達が「29歳で本厄」と言った日の居酒屋で、日本の友人がその場でageツールに韓国の友達の生年月日を入力すると、画面に『満27・韓国式29・年28』の3つの数字が同時に並びました。「日本基準だと27歳。韓国式だと2つ上の29歳。これでお互いの言ってる数字が両方正解だってわかった」という会話で、その夜の年齢の話は終わったそうです。